CAT-blueの部屋

京都在住の大学生の猫です。建築と機械学習を勉強中です。ロシア語とか数学にも興味があります。

美的京都乃魅力

京都の空は絵になる。京都を南北に流れる鴨川は視線を遠く京都を盆地たらしめる山々まで導き、夜にはそこに月が浮かぶ。薄っすらと雲がかかっていたら最高だ。バイト帰りに鴨川に架かる橋を渡りながら、まるで日本画のようなそんな繊細な景色を眺めるのはなかなかに最高である。繁華街の光や音も良い。京都は高さ制限があるからビルの高さが限られている。空の下に行き交う人々の波、光の筋、音の粒子が何もかもエモさを演出してるかのように思われる。あるいは今家でキーボードを叩いてるだけだからそんな風に美化されて思い出されるのかもしれない。しかし、おそらく10年後、20年後も学生として過ごした京都の町をそんなふうに美化して思い出すんじゃないかと思うのだ。パリは移動祝祭日であり、青年期をそこで過ごした者には一生その記憶が付きまとう、そんな言葉を最近にしたけど、京都もおそらくそんな側面があるんじゃないかな。僕らにとっての箱庭であり、どこまでも理想を押し付けても拒絶することのないような、寛容さがあるような気がする。

 

キャンパスが変わるから、メインキャンパスの学生の多く住む町から、工学部生だけが通うキャンパスの近くの家へと引っ越さないといけない。その家探しをしたのだが、家を探したその地域は悪くはないのだ。立地は駅に近く大阪や京都の繁華街にもアクセスが良い。だけどその魅力はきっと京都としての魅力ではなく、それを思うにつけ今住んでいる町の景色がかくも切なく思えてくるものかと驚いてしまった。学生の終わりである。悪いことではない。ただ何となく切ないだけ、不完全な自分が不完全なままに社会へと押し出されゆくそのプロセスの一環に寂しさを抱いただけ。そんな感傷記。